(33)~(37) を新規追加❗️
単語を覚える際はもちろん重要度・頻度の高い単語から覚えるべきですね。「重要度順・頻度順」を謳った単語集は山ほどあります。私は有名な森一郎『試験にでる英単語』をみっちりやりました。
ただし,覚え方が簡単なのならマイナー語・難語でも覚えておいた方が得です。
(1)recur
occur「起こる」を覚えていることが条件です。
occurはhappen「起こる」に似ていますが,toが続く時は
happen to N「Nの身に起こる」
occur to N「Nの頭に浮かぶ」
という違いがあるので注意しましょう。
recurはre「再び」+occur「起こる」,つまり「再発する」です。これは覚えておかないと損ですね。
(2)depict
pictはpictureのpictです。depictは「描写する」という意味です。
deは無視してもOKですが,「はっきりと」でしょう(2020/2/4のブログ参照)
(3)diminish
よく見るとminiが含まれていますね。diminishは「縮小する」です。
★2020年度東京大学二次試験1(B),及び2019年度京都大学二次試験第2問の英文中にdiminishは登場しました。
(4)resentment
「ルサンチマン」という語を知っていることが条件です。「ルサンチマン」は「怨念・恨み」という意味のフランス語(ressentiment)です。これとは綴りがやや違いますが,resentmentは「憤慨,恨み」という意味です。リゼントメントのような発音になります。
さらに言うと,re(再び)+sentiment(センチメント=感情)と覚えるのも有効です。「返す返すも腹立たしい」といった言い方がありますが,「繰り返し起こる感情」→「憤慨」ということです(英語ではiは無いので注意)
なお,動詞形も重要です。
resent O「Oに憤慨する」
他動詞であり,前置詞at/withなどを使わないので注意してください。resent himで「彼に憤慨する」です。
(5)abuse
すみません,これは決してマイナー語ではなく,重要語ですね。
abは「abnormalのab」と理解してください。よってabuseは「abnormalなuse」,つまり「乱用[濫用](する)」です。名詞は「アビュース」,動詞は「アビューズ」です。もう1つの重要な意味は「虐待(する)」です。
drug abuse「薬物の乱用」
child abuse「児童虐待」
です。
(6)retrieve
「レトリバー(retriever,リトリーヴァー)」は,獲物を猟師の下へ「回収する」猟犬です。この猟犬の役割から逆に遡ってretrieveの「回収する;(ファイルを)検索して取ってくる」の意味を覚えましょう。PCに詳しい人はretrieving ...filesのようなログを見たことがあると思います。
(7)kinship
kind「種類」を知っているならkin「親類・同類」は覚えておきましょう。kinshipは「血縁関係,親近感,類似性」です。またこれにaloudやasleepなどの“a”を付けたakinも重要です。be akin to...「……に似ている」
(8)remedy
“medy”はmedicalの“medi”です。これに“re”(再び)がついて,remedyは「治療法,解決策」です。“re”に着目しなくても,“medy”=“medical”に着目すれば意味は出てきますね。
(9)rejoice
joy「喜び」から簡単に推測できます。「喜ぶ」という動詞です(rejoice at...)
×rejoyceと綴ってはいけないことだけ注意ですね。Asgard Stories 9,11でrejoiceは登場しました。
(10)probe
演劇用語の「ゲネプロ Generalprobe」(通し稽古,総稽古)を知っていれば覚えておきましょう。probeは「調査(する)」という意味です。また「宇宙探査機」の意にも使われます。
(11)donate
donor「寄贈者,ドナー」から逆に覚えましょう。donateは「寄贈する,寄付する」です。なお「donateされる人」にはdoneeという語がありますが,臓器の提供を受けて移植手術を受ける人はrecipientと言うようですね。
(12)impair
repair「修理する」を知っているなら覚えておいて損はありません。impairは「損なう」です。imには「中」の意もありますが,ここのimは〈打消〉ですね。
(13)reconcile
禁断の語呂合わせに手を出してしまいました。でもどんな珍妙な覚え方でも,覚えられたら勝ちですよ!「りこんさいばんを調停する」でreconcile「調停する,仲裁する」を覚えましょう。
語呂合わせ最大の弊害が発音です。reconcileは/rékənsàɪl/という発音です。本当は「レ……」ですね。
(14)lament
「ラーメン無いと嘆く」。lament「嘆く」/ləmént/
(15)prowess
「プロレスには技量が必要」。prowess「技量」/práʊəs|práʊes/「プラウアス,プラウエス」です。prowは「船首,機首」という意味ですが,無関係ですかね。
(16)intrude
「入って(in)取るどー(trude)」。intrude「侵入する;押し付ける」/ɪntrúːd/。intrusive「押し付けがましい」。inが「中に」という点だけは正しいです。
(17)robust /roʊbʌ́st//róʊbʌst/
これはもう(笑ってはいけませんよ)「ロブスター(lobster)」からでしょう! robustは「頑健な,活発な,強固な」です。「ロブスターのように頑健」と覚えましょう。
★2018年度東京大学二次試験1(B)にrobustは登場しました。
(18)tangible
数学好きはぜひ覚えましょう。tangent「タンジェント」は「正接」です。つまり“tang”には「触れる」の意味があるのです。tangibleは「触れられる」→「明白な」,intangibleは「触れられない」→「掴みどころがない,無形の」です。
(19)restless
restは「休む」「(the rest)残り」です(おそらく別語源)。restlessは「休まることがない」ということで「落ち着かない,不安な」です。ただrestiveも「落ち着かない」ですから不思議ですね。restlessとrestiveは一緒に覚えておきましょう。
(20)fume
皆さんご存知のperfume「香水」は「perfectなガス(fume)」という意味です。よってfumeはただの「ガス」です。
(21)innumerable
numerous「多数の」にも入っている“numer”は“number(数)”のことです。innumerableの場合は〈打ち消しのin〉が付いているため「多数の」というより「無数の(数え切れない)」です。countless「数え切れない」もあります。
(22)ominous
omen(オーメン)は「良い兆し」の意味にも「悪い兆し」の意味にもなるようですが,ominousは「不吉な,不気味な」という意味です。
(23)contort
ここからは形態素(接頭辞,語幹,接尾辞)で覚えやすいものも攻めて行きましょう。ただし形態素自体が覚え易くないと意味がないので,形態素も覚えやすいものを挙げていきます。
torture「拷問,ひどく苦しめる」や torment「苦しめる,苦悩」 は知っている人は多いでしょう。ならば形態素 “tor(t)”=「ねじる」も覚えてないと損です。そこから,contort は「ねじる,歪める」という意味です。
(24)retort
“tor(t)”=「ねじる」を覚えておけば,retort は「ねじり(tort)+返す(re)」ということで「言い返す,しっぺ返しをする」です。tornado「竜巻」や tortoise「陸亀」も「ねじれる」のイメージからと思われます。
(25)curtail
私の知る限り「切る」の意味を持つ形態素は3つあります。“tom” “cide” “tail” です。このうち “tail”=「切る」は tailor「仕立て屋」から覚えましょう。「切る人」ということで「仕立て屋」なわけです。「尻尾」の tail とはたまたま綴りが同じなだけで無関係なのですが,「トカゲの尻尾(tail)切り(“tail”)」と印象づけて覚えるのも有効でしょう。
curtail は「切り詰める,削減・短縮する」です。
(26)retail
“tail”=「切る」を覚えておけば,retail は「再び(re)+切る(tail)」で「小売り,小売りする」です。ついでに「ファーストリテイリング」(ユニクロなどの会社)で印象付けておきましょう。
(27)exrtaterrestrial
「地球(テラ)へ…」なんて漫画もありましたが,“terra” は「土地,大地,地球」です。例えば the Mediterranean Sea は “medi” が「中」,“terra” が「土地」ということで「地中海」です。綴る時も Medi+terra まで書ければ,あとは nean で完成です。
extraterrestrial は extra が「外」,terr が「地球」を意味しており,「地球外の;地球外生物」という意味です。略して ET ですね。👉👈
この語を綴る時は要注意です。terrestrial の対義語に celestial(セレスチャル,セレスティアル)「天の」があるのですが,terrestrial の方は❌terrestial(テレスチャル,テレスティアル)ではありません。⭕️terrestrial(テレストリアル)です。つまり “r” が入るのです。
・celestial「天の,天体の」
・terrestrial「地球の」
・extraterrestrial「地球外の」
読むだけなら問題ないですが,綴る場合は “tial” と “trial” の違いに気を付けて下さい。
(28)proffer
proffer は offer の先頭の “o” が “pro” になっただけで,offer と同じ意味「提供する,申し出る」です。これは覚えないと損ですね。
なお “pro-” は「前方に」という意味で,proffer は「前方に提供する」と考えれば offer と変わりませんね。“pro-” からは例えば propel「前進させる,推進する」が生まれますし,次項も覚えられます。
(29)proliferate
“pro-” は「前方へ」です。“life” は「生命」を連想しましょう(本当の語源は不明)。proliferate は「繁殖する・させる,激増する・させる」です。「侵略的外来種」の長文などで登場します(2015年度慶應医学部など)
(30)imperative
imperial「帝国の,皇帝(emperor)の」から連想しましょう。imperative は「命令的な,命令法の,急務の」です。「皇帝は命令する」で行けますね。
関係ないですが empirical は「経験に基づく,実験に基づく」ですから間違わないようにしましょう。
(31)ordain
「オーディンは定める」と連想しましょう。ordain は「定める」です。
Wiktionary で語源を調べると order と同根のようですね。
(32)ordeal
「オーディンの試練」と連想しましょう。ordeal は「試練」です。
となると「定める」と「試練」で混同しますが,「定めるか試練のどちらか」と覚えていれば,動詞として働いていれば「定める」,名詞として働いていれば「試練」と分かるでしょう。
Wiktionary で語源を調べると「外(or)+扱う(deal)」のようです。
(33)provoke
provoke は「挑発する,(感情を)引き起こす」という意味で,東大二次試験でも出題歴があり,『試験にでる英単語』にも載っています。成り立ちは「前方に(pro)」+「声を出す(voke=vocal)」で,「おいこらっ」って感じでしょうか。これでも十分イメージが掴めますが,もっと語呂合わせ的に「ヴォケと挑発する」と覚えましょう。なおゲームでタンク役(盾役)が敵の注目を自身に惹きつける行為を「挑発する」と言うことが多いのですが,ある時パーティーで一緒になった英米人が "voke" とチャットするのを見ました。voke は provoke のことであり,盾役に「挑発してくれ」と頼んだのでしょう。
ただし「挑発する(怒りを引き起こす)」だけでなく,「(笑い)を引き起こす」のようにさまざまな感情を「引き起こす」の意味であることには注意しましょう。そういう意味で「前に(pro)」+「呼び出す」というのが正確な語源でしょうね。
(34)prolong
"long" が含まれることで,超簡単です。「延長する」です。「アルスターの猟犬(55)」で,your lives will be prolonged「貴方は生きながらえるでしょう」という形で登場しています。
(35)lure, allure
釣りの擬似餌の「ルアー(lure)」です。そこから lure は「誘惑する;魅惑」です。allure も同様の意味なので,一緒に覚えましょう。
(36)peal, peel
peal と peel は違う意味です。先ず peal は appeal に含まれる部分なので,appeal のイメージから覚えましょう。appeal は「訴える」ですから,訴えるために大きな声を出している様子をイメージしましょう。peal は「轟く(とどろく),鳴り響く」という意味です。
peel の方は「(ケミカル)ピーリング」(薬品で角質を落とすこと)や「ピーラー」(野菜の皮むき器)から覚えましょう。「(皮を)むく;(上着を)脱ぐ」です。
appeal の綴りになっている方が「大きな音を出す」,なっていないピールが「むく」と覚えましょう。
(37)inverse, converse
reverse は「逆(の)」ですが,re があることが絶対条件ではないんですね。inverse や converse にも「逆(の)」の意味があります(converse は「会話する」も)。
reverse = inverse = converse はセットで覚えましょう。
(38)私は,どんな難語でも覚える価値があると考えます。確かに難単語は試験において,それ自体の意味がノーヒントで問われる可能性は低いです。しかし
①文脈をヒントにその難語の意味を推測して答えさせる問題は出題され得ます。
そういう場合はしっかり文章を読むべきですが,最初から単語の意味を知っていればなお有利です。
また,
②その語の意味は問われなくても,それを知っていることで他の部分の読解のヒントとなり,有利になる場合があります。
さらには
③その語の意味が問われず,また大して他の部分のヒントにもならなかったとしても,文章中の難語の意味が分かることは心理的負担を下げることが期待できます。試験の結果は精神的なものに左右される部分が少なくありません。気持ちが乗れないときよりも,乗れたときの方がパフォーマンスが良くなることは試験以外でも言えることでしょう。
私は『試験にでる英単語』を学習することで初めてintoxicate「酩酊させる,ほろ酔い気分にさせる」という語を覚えたのですが,これが受験本番に出たのです。もちろんこの語自体の意味は問われなかったし,知らなくても要旨の把握に影響はなかったです。でも試験本番において「本当に『試験にでる英単語』から出た!」という驚きと喜びは大きかったものです(なおintoxicateについては2020/5/20の記事で取り上げました)
まだまだこの手の「マイナー語・難語だが覚え方が簡単なので覚えないと損」な単語は見つかりそうですね。見つかったら今回の記事に足していき,タイトルも「6選」「7選」と変えて行きたいと思います。
更新履歴
2020/2/10:「5選」として公開
2020/4/18:(6)〜(8)を追加し「8選」に
2020/5/20:(9)〜(12)を追加し「12選」に
2020/6/26:(13)〜(16)を追加し「16選」に
2020/11/4:(17)〜(18)を追加し「18選」に
2021/2/9:(19)〜(22)を追加し「22選」に
2022/8/22:(23)~(27)を追加し「27選」に
2022/10/31:(28)~(32)を追加し「32選」に
2023/2/6:(33)~(37)を追加し「37選」に