informationally, は端的に訳せば「情報的に」であり,言わんとしていることは分かるが,和訳としてはこなれていませんね。
適切な訳し方を記事の最後に紹介しますが,お時間のある方は最初から御覧下さい。
(1)「独立分詞構文」
おどろおどろしい名称ですが,主語を敢えて残した分詞構文です。
As there were no taxis, we had to walk.「タクシーがなかったので歩かねばならなかった」
接続詞を消す,主語を消す,動詞を-ing形に。
(※there is構文の分詞構文では,thereを主語とみなします)
As there were no taxis, we had to walk.
→ Being no taxis, we had to walk.
しかしこれでは「私達はタクシーではなかったので」とも読めてしまう(常識的におかしいとしても),つまり,
As we were no taxis, we had to walk.
からも同じものができてしまいます。そこで,thereを残して,
→There being no taxis, we had to walk.
とします。これが独立分詞構文です。基本ルールとして,主節と従属節で主語が異なるときは,分詞構文を作る際に主語を消さない(消すと分からなくなるから)といういうわけです。
(2)分詞構文を使った慣用表現
①weather permitting,「天気が許せば」
If the weather permits,「天気が許せば」からの分詞構文です。細かいところが気になる人は,the weather permitting, ではないのかと思うでしょうが,その指摘は正当です。私も明確には説明できず,「慣用句だからそのへんも曖昧になるのだろう」と思っていました。
真面目に調べるきっかけになったのは,Moss Robertsという人が訳したThree Kingdomsという本(羅漢中『三国志演義』の英語訳)を読んでいたときです。
趙雲が敵陣に突っ込む時に,Spear high, という表現がありました。これは
His spear being high「彼の槍が高い状態で」→「槍を高く掲げ」
という分詞構文です。beingが省略できるので,
His spear high,
となるのですが,beingの省略で名詞だけになってしまうとき,裸名詞(aやtheやthisやhisなどがつかない状態)でも構わないという特例があるのです。weather permittingのtheがないのは,このルールに従っていると考えられます。
この本はイギリス旅行のお土産にと知人がフルトンの傘と一緒に買ってきてくれたものですが,興味のある方は「Moss Roberts Three Kingdoms」でググってみて下さい。
②talking of N,「Nと言えば,」
talking about N, speaking of Nとも言います。Nで何かを想起し,それに関連して話す場合の切り出しです。
③judging from N「Nから判断すれば」
judging from the look of the sky「空模様から判断すれば」
④given N「Nを考慮すれば」,regarding N「Nに関して」
if we are given N「もしNが与えられれば」から分詞構文を作ると,
being given N→given Nとなります。givenやregardingのように分詞の形態を取る前置詞は分詞構文からできたと考えられます。
⑤strictly speaking「厳密に言えば」,generally speaking「一般的に言えば」など
これは「独立分詞構文」の例外と言うことができます。
If we speak generally, women live longer than men.「一般的に言えば,女性は男性より長生きする」
を分詞構文にすると,主節(women)と従属節(we)で主語が異なるので,
We speaking generally, women live longer than men.
とWeを残さねばなりません。しかしspeakしているのが話題の対象である「女性」ではなく,話題にしている「私達」であることは自明なので,
Speaking generally, women live longer than men.
で良いとされています。学校ではgenerally speakingの語順で習うことが多いと思いますが,重要なのはgenerallyだけでいいということです。
strictly speaking, もstrictly, だけでOK
そこから分かることは何でしょうか?
informationally, はinformationally speaking, と言えるのです。
訳としては「情報的な」よりも「情報的に言えば」,もっと丁寧に訳せば
「情報の観点で[から]言えば[見れば]」
が良いでしょう。