接頭辞"de"から始まる英単語は,単語を覚える人にとって鬼門の1つです。
"de"には大きく分けて
(1)下降・分離のような意味……打消・否定的な意味になりがち
(2)完全のような意味 ……強い意味になりがち
の2つがあり,(1)(2)のイメージが逆に近いからです。
"de"は"down"から来ていると考えると良いです。
(1)down=「下降」。down from「から下ってくる」と考えれば「分離」。貴族の名前に使われる"de"も of, fromのような意味です。この"de"からは
decline「衰退する,断る」("cline"=傾ける)【下降】
descend「下降する」(↔️ascend)【下降】
deteriorate「悪化する,質が低下する」【下降】
deforestation「森林破壊」(forest+de)【分離】
deregulation「規制緩和」(regulation「規則・規制」+de)【分離】
のような,何となく悪い意味・反対の意味が生まれやすいです。
(2)これに対し「完全」というのが分かりにくいところで,無理やり覚えても良いのですが,一応私は「地に足をつける」とか,pin down「明確に定義する」のように,「下に」が「しっかりと」の意味を生んだと理解しています。「浮足立つ」というのは「不安定」ですよね。その逆という理解です。
definite「明確な」(終わり(fin)を完全に(de))
define「定義する」(同上)
declare「宣言する」(clare=clear+de)
decide「決心・決定する」(cide=切る→完全に切る)
のように,「はっきりと」の意味を持つ語が生まれました。
このように「何となく悪い意味」と「はっきりのような意味」に分かれるため,deから始まる単語は面倒に感じるのだと思います。
(3)ようやく本題に入りますが,despiteもdespiseも(1)の"de"です。
①despite...「……にも拘らず」
spiteは「悪意(malice)」という意味で,spitefulは「悪意ある(malicious)」です。古くはこのspiteをdespiteとも言いまして,look down on...「……を見下す」のdownが"de"と考えて下さい。
in spite of... は「……の(of)悪意(spite)の中で(in)」→「……をものともせず」→「……にもかかわらず」です。
このin spite ofを,古くはin despite ofとかdespite ofと言ったのですが,現代英語ではdespite1語で言えます。1語であり,堅めの短文に向きますね。
以上から考えると,古くはdespite「悪意」だったところから,現代英語では
spiteは「悪意」
despiteは「……にも拘らず(in spite of)」
と役割分担したのかもしれませんね。
②despise「軽蔑する」
despiseの"spis, spic, spec"は「見る・目」で,多くの単語を覚えられます。
conspicuous「目立った」(conは強調)
spectacle「壮観,惨状,[-s]眼鏡」
speculate「推測する,投機的売買をする」
specimen「見本,標本」
spyやspecialなどもありますね。
specifyは「明確に述べる」という意味で,この名詞形のspecification「明確に表すこと」が「仕様書」の意味を生み,これが「スペックが高い」のspecになったのです(speck「しみ」は無関係です)
となるとdespiseは,de(下に)+spise(見る)ですから正にlook down (on...)「(…を)見下す」と同じなのです。look down「見下す」,despise「軽蔑する」という風に「簡単な言葉」と「難しめの言葉」の関係にあるのでしょう。
次回はもう一つ,単語を覚える際に鬼門となる重要接頭辞を紹介したいと思います。
↓書きました
↓“cide”=「切る」についてはこちら
前置詞despiteからthat節に繋げる方法は↓の(1)で触れています。