2019/12/9のブログで,bring「持ってくる」というのを紹介しました。
(how comeとwhyの違い,come aboutとbring aboutについて - フレイニャのブログ)
そういえば,take「連れて行く」というのもありますよね。
では,bringは「〈物を〉持って行く」,takeは「〈人を〉連れて行く」なのでしょうか?
これは不正確です。
bringとtakeの違いは,目的語が「物」か「人」かではありません。bring,takeともに,「物」「人」両方を目的語にできます。
では,違いは雰囲気なのでしょうか。
実は,bringとtakeの違いは,目的語ではなく方向性です。端的に言ってcomeとgoに対応しています。
まずcomeとgoの方向性の違いを理解しておくと良いでしょう。
come・・・第三者が自分または相手のところに来る,相手が自分のところに来る(Come in!),自分が相手のところに行く(I'll come./I'm coming.)
go・・・自分または相手が第三者のところに行く
※「相手」とは「話し相手」のことです。「話し相手」を「あなた」と読み替えてもいいです。
複雑なので図にしてみました。
行き先が「第三者」でなければ,全てcomeです。自分と相手の間の行き来はcomeであり,第三者が相手の所に「行く」ときもcomeです。この三角形は,こう単純化されます。
要するに「自分」と「相手」を同じ立場のように扱っているのです。相手の気持になっているのです。関西弁で相手のことを「自分」と言うようなものだと思います。
映画『ダンス・レボリューション』で,主人公のハニー(演 ジェシカ・アルバ)が「市民センターでダンスを教えているから来ないか」と言うと子どもたちに「そんなかっこ悪いとこ行きたくねー」と馬鹿にされるのですが,最年少の子どもが「僕行くよ」と言うんですね。その時のセリフが I'll come. です。「あなたのいる市民センターに行く」ということで,comeです。いまハニーは目の前にいるんですけどね。
これを踏まえ,comeに対応しているのがbring,goに対応しているのがtakeと考えて下さい。
「私が誰かを相手(あなた)の所に連れて行く」はbringです。
「彼が誰かを相手(あなた)の所に連れて行く」もbringです。
「私が誰かを第三者の所に連れて行く」はtakeです。繰り返しますが,「人」であるか「物」であるかは,bringとtakeの違いに影響しません。
I'll bring my husband.「夫を連れて行くよ」(連れて行く先はあなたのいる所)
I'll take my husband.「夫を連れて行くよ」(連れて行く先はあなたのいない所)
Bring my book back.「私の本を返して下さい」(私のところへ)
Take your umbrella with you.「傘を持って行きなさい」(私以外のところへ)
民謡「マイ・ボニー」のBring back my Bonnie to me. も,bringが「人」に使えることを示していますね。